私が円安を予想する為替相場

FXにおける効率的な運用とは、谷越えを待って買い、山越えを待って売ること。そして、思惑違いは損切ること。プロのディーラーはリスクをどう管理してきたか?毎週末に選んだ「谷越え」と見なせる5銘柄を叩き台に、選んだ理由、仕込み、目標、損切りの参考価格を提示。月曜朝8時迄に配信。原則毎日フォローアップ。

私があえて円安を予想する3つの理由

今年も残すところあと1週間となりました。今週のマニアック・ビューは、クリスマスプレゼントといっては何ですが、私の来年の相場(勝手?)予想とさせていただきたいと思います。少々長いですが、我慢して最後までお読みいただければ幸いです。

 

先日ロイターなどに専門家の来年の相場予想が出ていましたが、ドル円の予想レンジはおおむね80円から100円に収まっており、ほとんどの専門家が円高・ドル安を予想していました。中には80円を割り込み史上最安値を更新するとの予想も少なくありませんでした。

 

サラリーマンアナリストの場合、まずは極端に外さないということが肝心ですので、どうしてもこれまでの流れに沿った予想が多くなる傾向があります。ドル円が過去3年連続で下がっているわけですから、よほど強いドル高の根拠がない限り、まだ下がると言った方が確率的に有利なわけです。

 

しかし!これだけ円高予想が多いと、あまのじゃくの私などは逆に来年は意外な円安もあるのではないかと思ってしまいます。円安を予想する理由はいくつかあるのですが、以下に3つほどあげてみたいと思います。

 

私の注目ポイントその1は、「リスク回避局面はすでに終わっている」ということです。

 

2007年のサブプライム問題に端を発した金融不安が昨年のリーマンショックで一気に金融危機・パニックに拡大し、安全通貨とされる円が集中的に買われたというのが今年の相場でした。しかしNYダウの動きを見ると、すでに今年の3月に6470ドルで大底をつけ、

年末には10500ドル台と60%以上も上昇しています。株式市場の不安感を示すVIX指数は、年初の50台から一貫して下がり続け、今週はついに20を割り込む展開となりました。

 

客観的にみて市場のリスク許容度はリーマンショック以前の水準に回復しており、この視点から見れば円が独歩高となるシナリオは正当化しづらいと思います。むしろ今年の円高は、リーマンショックの後遺症・トラウマであり、為替市場の心理が必要以上に委縮してしまった結果であると考えられます。市場のセンチメントは振り子のようなもので、極端な悲観から極端な楽観の間を行き来するものです。となると来年は今年の反動で円安となる可能性も小さくないわけです。

 

注目ポイントその2は、「米国の金利が上昇し始めている」ということです。

 

FF金利は依然として実質ゼロですが、FOMCはすでに危機対応の資金供給の打ち切りを決めており、実質的には超金融緩和からの出口戦略に踏み切っています。来年は景気回復とともに利上げ時期を模索する段階に入るというのが自然な流れであり、FF金利先物が織り込んでいるところでは、遅くとも9月までには利上げサイクルに入る公算です。

 

FRBの見立てでは住宅や雇用は改善の兆しが出ており、これ以上下がらないところまで下がった金利がいずれ上昇することに疑いの余地はありません。また10年債利回りで比べると、米国は3.7%台へ上昇する一方、日本は1.2%台で低迷しており、2.5%の金利差がついています。日銀がいよいよ資産買入れなど非伝統的手段に踏み込むとの見方も浮上しています。日米の金融政策バイアスが対照的となりつつあることもドル円のサポート要因になると思います。

 

注目ポイントその3は、「日銀介入の可能性がある」ということです。

 

最後の日銀介入が行われてから5年以上経過しており、また藤井財務相が介入に否定的な発言を繰り返したおかげで、「政府・日銀は円相場が史上最高値の79.75円を更新しても介入しない」との見方が少なくありません。

 

確かに政府がバンバン介入して相場の方向性を決めてしまうような時代ではないのは事実ですが、G7で介入が禁止されたという話は寡聞にして知りませんし、現にスイスはことし数百億ドル相当の自国通貨売り介入を実施しています。財務省も別に介入は絶対やらないと言っているわけではありません。

 

為替市場への介入は非常にデリケートな政治的マターであり、あくまで相手国の事情や周辺国の経済状況に左右されるということだけなのです。政府・日銀としても、デフレを容認しない姿勢を明確にしている以上、円の最高値更新は当然看過できないはずです。米国は過去にも危機が起こると金利を実質ゼロにまで引き下げ、ドル安を容認して景気浮揚とデフレ回避を図ってきました。2000年のITバブルの崩壊しかり、2001年の同時多発テロしかりです。

 

金融危機の鎮静化に成功した今、米国が必要としているのは米国債の安定した買い手であると思います。長期間の低金利・ドル安で投資家の米国債投資意欲が後退しているうえ、中国など新興国の外貨準備のドル離れが急速に進行しており、来年は米国の経常赤字のファイナンスに困難が生じるおそれがあります。失われたドルの信認も取り戻さなくてはなりません。

 

そこで日本が非常に強力な円売り・ドル買い介入を行い、日銀がその資金をオペで回収せず市場に放置すれば(つまり非不胎化介入ですね)、円高を防止すると同時に量的緩和効果も期待でき、さらに米国の赤字ファイナンスにも貢献できるという「一石三鳥」の政策となりうるわけです。

 

金融市場全体がリーマンショック発生以前の状態に戻りつつあるなかで、円だけがこれほど高水準にとどまっている方が不自然との見方もできます。来年は今年の戻り高値である101円はもちろん、リーマンショック前の高値である110円台を目指す展開となる可能性もないとは言い切れません。来年が皆様の投資にとって大きなチャンスとなることを心から祈っております。

 

<マネックス証券のメルマガより引用>

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